全国紙、5社とも減収 広告収入減、新たな収益源探る
新聞事業の収支を示す単体の業績をみると、朝日新聞社と毎日新聞社が広告収入の落ち込みに経費削減が追いつかず、営業赤字に転落した。朝日が営業赤字を計上するのは初めて。毎日は最終損益でも15年ぶりの赤字となった。
日本経済新聞社は、景気の悪化で経済情報を求める読者が増え「部数は堅調に推移した」(広報グループ)ものの、広告収入の落ち込みが響いて減収減益となった。産経新聞社は、夕刊フジやサンケイスポーツの販売部数が減少し、単体の営業利益を大幅に減らした。連結業績のみを公表した読売新聞グループ本社も最終赤字を記録した。
各社がそろって減収となったのは、広告収入の落ち込みが大きい。電通がまとめた年間広告費によると、新聞広告は平成12年をピークに減少し、昨年秋の経済危機で企業が広告出稿を抑えたことで、20年には前年比12・5%減と大幅な落ち込みをみせた。
厳しい経営環境にさらされている各社では、新たな収益源を模索しており、ネット事業の強化などに取り組んでいる。ただ、ネット広告も単価の下落に見舞われており、収益の確保には課題を残している。
このため、朝日がテレビ朝日、KDDI(au)と共同で携帯電話向けにニュース配信サービスを始めるなど、有料課金の仕組みが構築されている携帯電話向けの情報配信に注力する動きも出ている。
野村総合研究所の阿波村(あわむら)聡主任コンサルタントは「単純に紙媒体をネットに置き換えるという意識では、各社が小さなパイを奪い合うことになる」として複合的な収益モデルの構築が必要としている。
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