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「年度視聴率二冠王」テレ朝、熟年と若者を魅了 [/tvasahi]

2013/4/22 6:30

 テレビ朝日の勢いが止まらない。2012年春に初めて「月間視聴率三冠王」となり、「年間プライム帯1位」の栄冠も手にした。得意な番組ジャンルが広がり、放送局イメージは大きく変化。先日、2012年度(2012年4月~2013年3月)の「年度二冠王」にも輝いた。その強さについて、視聴率データをもとに解説しよう。





テレビ朝日の人気番組。左上は『クイズプレゼンバラエティー Qさま!』、左下は『ロンドンハーツ』、右は『相棒』
 2012年4月に開局以来初の「月間視聴率三冠王」[注1]になって以降、テレビ朝日の快進撃が止まらない。同年6月まで3カ月連続三冠王を獲得した後も、日本テレビやフジテレビと攻防を繰り広げ、大躍進の2012年を「年間プライム帯(19~23時)1位」で締めくくった。ゴールデン帯(19~22時)も、トップとわずか0.1ポイント差で年間2位だった。


 さらに、2013年4月に発表された「年度視聴率」で、テレビ朝日はプライムに加え、ゴールデンも1位となり、二冠を達成。“テレ朝時代”の到来をさらに印象づけることになった。


 テレビ朝日の強さとは何か。2012年の視聴率ランキングを改めて見てみよう。例年『NHK紅白歌合戦』やスポーツの国際試合が上位を占める総合ランキングでは、トップ20位内にテレ朝銘柄が6本ランクインした(2011年は3本)。うち5本はトップ10内である。




データで見るテレビ朝日。2012年のプライム帯(19~23時)視聴率推移。4月に「初の月間1位」になり、その後3カ月連続で首位だったが、7月に日テレが逆転。しかし、9月に同率ながら首位に返り咲き。10月期からは他局をどんどん引き離し、12月には2位の日テレに2ポイント、3位のフジに3ポイントも差をつけた。プライム帯とは、ゴールデン帯(19~22時)もカバーする時間帯のことで、視聴率のボリュームゾーンといわれる。それゆえ、この王座の意味は、テレビ局にとって、とてつもなく大きい



2012年の視聴率総合トップ20。ランキングは全てビデオリサーチ関東地区調べのデータを基に日経エンタテインメント!編集部が作成。「総合トップ20」の連続ドラマは最高視聴率



■スポーツに加え、ドラマとバラエティも強い


 アジアサッカー連盟主催試合の地上波独占放送権を持つテレビ朝日は、2012年のようなワールドカップイヤーにはがぜん強さを発揮する。同放送権には今ではドル箱と化した多くのなでしこ戦も含まれている。ほかにも「フィギュアスケートグランプリシリーズ」や「ワールドベースボールクラシック」など、高視聴率が見込める競技の放送権をいくつも持っているのがテレビ朝日だ。


 ドラマとバラエティも強さが増している。ドラマでは、看板番組の『相棒』が高視聴率を維持するなか、2012年は『ドクターX ~外科医・大門未知子~』が大当たり。十八番のシリーズものも『科捜研の女』『遺留捜査』がトップ20入りした。今ではフジテレビに引けを取らないドラマ局になりつつある。




2012年のバラエティ平均視聴率トップ20。2012年1月1日~12月31日に放送された18時~23時台のバラエティ、音楽番組が対象。小数点2位以下は四捨五入。複数が合体した特番は、それぞれのポイントとした。長時間番組で数字が複数に出ていた場合は高いほうで計算。放送枠拡大による加重平均はしていない



2012年の連続ドラマ平均視聴率トップ20。2012年1月1日~12月31日に放送された15分以上の日本の連続ドラマ(3回以上)を対象。小数点2位以下は四捨五入。対象期間内にシリーズが複数放送されていた場合は、高いほうで計算。放送枠拡大による加重平均はしていない。『相棒』と『科捜研の女』は2011年からの集計



 バラエティは、2011年に比べ『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』『ロンドンハーツ』が大躍進。なかでも『お試しかっ!』は、放送時間が隣同士の『クイズプレゼンバラエティー Qさま!』との連動型特番を多数投下、人気向上につながっている。ちなみに2012年1年間の両番組の特番は6割にも及ぶ[注2]。


 トップ20には入らなかったが、23時台も忘れてはならない。同率で3本並んだ20位に続いて平均12.4%だったのは木曜23時15分の『アメトーーク!』だった。『マツコ&有吉の怒り新党』(水曜23時15分)も上昇傾向にあり、2013年は13%台を連発。加えて、平日帯でコンスタントに13~15%を取る『報道ステーション』、夕方帯で他局の倍のスコアを稼ぎ出す『相棒』再放送など、その基盤はかなり堅い。


■ゴールデンに若者はいない


 これらすべてを支える肝は、2層構造に割り切ったタイムテーブルと言われている。とかく“熟年向けの番組の多さ”を指摘されがちだが、実は若者もがっちりつかんでいるのがテレ朝の編成。23時を境に“熟年向け”と“若者向け”をはっきり色分けしたことが、勢いを加速させる結果になった。

 ゴールデン帯に多数のスポンサーが入り、潤っていた時代を経験している日本テレビ、TBS、フジテレビは、理屈では分かっていても、従来の編成をなかなか改革しきれないジレンマがある。スポンサー収入で成り立っている民放は、視聴者層の変化を認識しつつも、長年、枠を支えている大手スポンサーを切り離すのは難しいからだ。


 テレビ朝日も営業と編成のぶつかり合いがなかったわけではないが、他局より調整がしやすかったのは事実だ。


 一方、放送以外の分野で元気のいい話題が目立ってきているのが、配信分野だ(テレ朝動画、本記事最後の『本気で作ったニッチ動画で「面白ブランド」浸透』を参照)。これからは、各局が課題としているこの分野で勝てるかどうかがテレビ局の未来を左右するといわれているだけに、勢いはさらに高まる気配を見せている。



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本気で作ったニッチ動画で「面白ブランド」浸透


 「テレ朝動画」とは、テレビ朝日の動画配信サービスの名称である。どの局もこの分野での新展開に苦戦するなか、他局より抜きん出る活気をみせており、テレ朝の勢いを盛り上げている。





写真左は、ももいろクローバーZのドキュメンタリー『ももクロChan』。ももクロがブレイクする前からの冠番組で、早見あかりが脱退を告げるスクープ映像もあった。写真右は、2013年1月に始まった『芸人同棲』。9人の芸人による相方探しドキュメント。ほとんど宣伝していないが口コミで広がり、再生回数は20万回を超えた
 一番の特徴は、オリジナルコンテンツの充実ぶりだ。2枚看板は2010年から開始した『ももクロChan』(有料)と2011年から始めた『ロンドンハーツネットムービー』(無料)。『ももクロChan』は有料動画にもかかわらず開始から2年半で毎月数万人が視聴するヒットとなり、YouTube(ユーチューブ)と連動して配信した『ロンドンハーツネットムービー』は、再生回数1億回を突破した。


 もともと他局に比べてネット向きではない高い年齢層をターゲットとした番組アーカイブが多いテレ朝は、「弱点を補完する意味でオリジナル制作をせざるを得なかった」(コンテンツビジネス局・渕勇二氏)と言うが、今ではネット動画ならではの制作ノウハウも会得、“面白動画ブランド”として定着しつつある。


 「キーワードは下克上」と渕氏。バナナマンや板野友美といった有名どころがいる一方で、アップアップガールズ(仮)、LinQといったこれからのアイドルから芸人まで、ニッチなセレクトが楽しい。さらに数本の新番組が立ち上がる2013年春以降、注目度は増していきそうだ。

(日経エンタテインメント! 木村尚恵)


[日経エンタテインメント!2013年4月号の記事を基に再構成]


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