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新規契約者獲得の勢いが止まらない au -- 背景にはコンテンツサービスの成功が

スマートフォン市場で KDDI(au)の勢いが止まらない。4月末に発表された2012年度の決算発表によると、2012年の純増シェアは37%と大幅に増加したほか、モバイル・ナンバー・ポータビリティ(MNP)による通期純増数は過去最高の101万件を達成。この勢いは2013年度に入っても衰えず、2013年4月期の純増数は20万9,600件、MNP 純増数は19か月連続首位となる7万4,400件を記録している。

この勢いの原動力には、iPhone や Android 端末をバランスよくラインナップしている商品力や、安定した通信ネットワークなどが挙げられるが、もうひとつの要因がコンテンツサービスでの成功だ。決算発表によると、同社がコンテンツサービスの中心に位置づける「au スマートパス」は2013年3月末現在で574万件の加入者を獲得。これは当初予想を74万件も上回る結果となっており、コンテンツサービスが契約者の心を確実に掴んでいることを象徴している。


2013年3月末で会員数が574万人に達した「au スマートパス」(KDDI決算資料より)



「au スマートパス」は月額390円という低価格で、人気アプリ取り放題、50GB のクラウドストレージ、スマホ向けセキュリティサービス、クーポン・ポイントがパッケージになったサービスで、スマートフォンを使い始めた初心者ユーザーに好評となっているサービスだ。携帯電話事業者が運営するコンテンツサービスとしては、NTTドコモの「dマーケット」、ソフトバンクモバイルの「UULA」などがあるが、「au スマートパス」が“ひとり勝ち”状態となっている要因は何なのだろうか。

ひとつは「au スマートパス」を、スマートフォンを楽しむための“入口”と位置づけ、料金・サービス体系のわかりやすさを追求した点だ。

2012年1月に同社が「au スマートパス」を第1弾とする「スマートパスポート構想」を打ち出した際、同社の田中社長はこの構想を「インターネットのオープンで規制のない世界へのパスポートにしたい」と発言。リテラシーの低い人でも安全・安心にスマートフォンで実現するモバイルインターネットを体験できるようにしたことで、スマートフォンへの切替えに抵抗のあったフィーチャーフォンユーザーの取り込みに成功したものとみられる。

もうひとつは、「au スマートパス」が高いクオリティを追求している点だ。サービスの利用料金は月額390円という低価格だが、ユーザーにとっては価格以上の価値を手に入れられなければ加入する動機にならない。

この点で、「au スマートパス」は1本1,000円以上という高額なアプリを含めて、ユーザーニーズの高い有料アプリや有料アプリゲームも多数ラインナップし、この充実した内容がユーザーの高い関心を獲得することになった。以前、弊誌が KDDI の担当者に取材したところによると、同社が「au スマートパス」を開始する際には、有料アプリを提供するコンテンツ・プロバイダー(CP)にも十分な収益を提供してパートナーシップを築くために、KDDI 側で CP に支払うロイヤリティを負担してまで、会員獲得を優先させたのだそうだ。田中社長は、「既に赤字フェーズを抜け出した」と今年1月の決算発表で発言しているが、赤字を恐れずに充実したサービスの実現を追求した姿勢が成功のカギとなったと言えるだろう。

最後のポイントは、この“入口”となる「au スマートパス」を起点として、専門性の高い様々なサービスの利用が順調に増加している点だ。

KDDI では、「スマートパスポート構想」を構成するサービスとして、「au スマートパス」を皮切りに、月額590円で映画、ドラマ、アニメなどが見放題となる「ビデオパス」、月額315円で洋邦問わず多くのヒット曲が聴き放題となる「うたパス」、月額590円(2013年7月末まで無料)で文庫・コミック・写真集などが読み放題で、現時点では「au スマートパス」加入者に先行提供している「ブックパス」を相次いでスタート。スマホの様々な楽しみ方に興味を持ったユーザーが、自分好みのコンテンツを徹底的に楽しめる環境を提供している。これらを「au スマートパス」から派生したサービス群として位置付けて会員数を伸ばしたことにより、顧客のモメンタム向上と純増数の増加に結び付いたものと考えられる。

こうした KDDI の取組みはネットユーザーからも好評で、「NAVER まとめ」には「新しくなるauスマートパスは使えるの?」と称した同社のコンテンツサービスに対する取組みをまとめたページまで登場。KDDI がコンテンツ・プロバイダーに支払うロイヤリティを負担した点を「au は自腹を切ったらしい」と指摘しているほか、5月20日の新製品発表会で公表された「au ポータル」との統合やユーザー投票でコンテンツを決定する「スマパス総会」の発足、「au スマートサポート」の開始など、予定している大幅リニューアルのポイントなどをまとめており、注目度の高さを伺うことができる。

同社では、今後も「au スマートパス」を初心者でもわかりやすいコンテンツサービスの“入口”と位置付けてシンプルさやわかりやすさを徹底していき、より専門性の高い“パス”系のサービスの拡充と合わせてコンテンツサービスの利用者を増やし、通信会社とユーザーの結びつきを強めていきたい考えだ。「スマートパスポート構想」が“立ち上げ期”から“成熟期”へとシフトしていく KDDI の勢いは、今後も当分続くものと思われる。

■新しくなるauスマートパスは使えるの?
http://matome.naver.jp/odai/2136781446771996701
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