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GM破綻 待ちわびる人たち

●業界によっては「追い風」に

 経営危機に陥っている米GMが破綻へのカウントダウンに入った。27日に再建策の柱だった過剰債務の圧縮が困難になったことが分かり、今後は破産法11条(日本の民事再生法に相当)の申請が焦点になる。

 日本企業が大ダメージを受けるのは確実だ。東京商工リサーチの調査によると、GMグループと取引のある日本企業は114社。大手自動車メーカーから部品メーカー、ケンウッドやパイオニアなどの電機メーカーまで幅広い。

「GM破綻で部品メーカーの需要は減少しますから、その部分ではマイナスです。しかし、長期的に見ると日本経済にプラスに働くことは十分に考えられます。例えば日本の自動車メーカーにとってシェア拡大のチャンスです」(東京商工リサーチ情報部の友田信男統括部長)

 破綻したGMは4ブランドに整理し、車種を絞り込んだ再建策を打ち出すことになる。中型車の生産をやめれば、トヨタや日産、ホンダなどが入り込む余地が広がるのだ。富士重はGMのディーラー網を手に入れ、販売拡大を狙っているといわれる。北米で絶不調の日本の自動車メーカーはひと息つけるわけだ。

 一方で「日本メーカーは実質国有化されるGMとの競争を強いられる。下手にシェア拡大に動けば、貿易摩擦の火種になる」(メーカー関係者)という声もある。破綻が追い風になりそうな業界もある。燃料電池関連メーカーのGSユアサや関東電化、田中化学研究所、明電舎などだ。

「GMは主力車をガソリン車からエコカーにシフトするでしょう。日本の電池メーカーはGMとの取引に慎重でした。しかし国有化後は、GMの支払いが滞ることもなくなりますから安心して取引を拡大させることができます」(前出の友田氏)

 そればかりではない。株式市場も破綻を待っているというのだ。

 第一生命経済研究所の桂畑誠治主任エコノミストが言う。

「瞬間的には下ぶれ要因ですが、破綻で悪材料が出尽くし、疑心暗鬼だったマーケットはスッキリします。株価が上がる可能性も高い。心配なのは失業者の急増問題でしょう」

 早ければ今週末にもGMの破綻が決まる。ビジネスの世界は、早々と破綻後を睨んで動き出しているが、アメリカ隆盛の象徴でもあった超ビッグ企業の没落は世界の消費者心理にどんな影響を与えるか、まだ誰も読めない。

(日刊ゲンダイ2009年5月28日掲載)


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