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携帯開発 つながる再編 NEC・日立・カシオ事業統合

NECと日立製作所、カシオ計算機が携帯電話事業の統合を検討していることが28日、分かった。2010年4月の統合を目指しており、実現すれば首位のシャープに迫る国内第2位の携帯電話メーカーの誕生となる。携帯電話市場は、飽和状態による販売低迷と同時に、高機能化などに伴う巨額の開発費用がメーカーの収益を圧迫している。NECなど3社は事業統合による規模拡大で苦境を乗り切る考えで、今後は同様の問題を抱える他の国内メーカーにも再編の動きが広がる可能性がある。

 日立とカシオは、04年に携帯電話の開発部門を統合して合弁会社を設立しており、NECが携帯電話事業を分社化して合弁会社に合流する案を軸に検討している。日立とカシオは携帯電話をそれぞれのブランドで個別に販売しており、NECとの統合後も3社のブランドを維持するとみられる。

 ≪販路拡大効果も≫

 事業統合の最大の狙いは、開発・製造コストの削減だ。また、NECはNTTドコモとソフトバンクモバイルに、日立はKDDI(au)に、カシオはauとソフトバンクに、それぞれ端末を供給しており、統合によって販路を広げる効果も期待できる。

 3社による事業統合は、国内携帯電話市場の厳しい現状が背景にある。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、08年度の携帯電話端末の国内出荷実績は、前年度比30.1%減の3464万台。出荷台数が4000万台を下回ったのは1999年度以来9年ぶりだった。世帯普及率が9割を超える飽和状態に陥っていることに加え、07~08年に販売方法の変更に伴って通信各社が端末価格を引き上げた影響により買い替えサイクルが長くなっていることが“ダブルパンチ”となっている格好だ。

 さらに、薄型化やワンセグなど多機能化によって開発費用が高騰。新機種の開発費用は100億円に達することもあり、メーカーの収益性は著しく悪化している。IT調査会社のMM総研の横田英明アナリストは「下位のメーカーになるほど、開発費などのコストをカバーできないので厳しい。国内販売が落ち込む中で、再編の動きは必然だ」と指摘する。

 すでに三菱電機が08年に事業から撤退したほか、三洋電機も京セラに携帯電話事業を売却している。今後も、採算性が悪化している中位以下のメーカーでは他社との提携や、韓国のLG電子など日本市場での知名度向上を狙う海外メーカーに携帯電話事業を売却する動きが進むことは必至だ。

 ≪海外市場にらむ≫

 また、上位勢の中でも統合などによって国内での事業基盤を固め、本格的に海外市場に打って出ることが欠かせない。国内市場の成長が期待できない中で「事業基盤を全世界に広げないと開発コストを吸収できない」(MM総研の横田氏)状況になりつつある。

 NECなど3社の携帯電話端末事業はいずれも国内のみだったが、統合によって海外市場参入を目指す見通しだ。シャープやパナソニックなどの“勝ち組”も、海外市場強化に向けて再編に動くか注目される。(三塚聖平)
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