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ソフトバンク再起動(5)留守預かる「都合の良い男」

2016/9/3付日本経済新聞 朝刊

 チーム名は「トップガン」。ソフトバンクグループの電波改善部隊が今夏、全国に散った。手には弁当箱サイズの端末を持つ。利用者のスマートフォン(スマホ)から位置情報や接続情報を集めビッグデータ解析し、電波がつながりにくい場所を割り出す。どの基地局からどんな強さの電波が届いているかを確かめ改善する地道な作業だ。

宮内氏は「孫さんが家出した後を切り盛りするのが役目」(1月)
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宮内氏は「孫さんが家出した後を切り盛りするのが役目」(1月)
 2006年に英ボーダフォン日本法人を買収し携帯電話に参入した当時、ソフトバンクのイメージは「つながりにくい」だった。社長の孫正義(59)の号令で急ピッチで立て直し「ナンバーワンになった」と派手に宣伝したが、第2弾の今回は外向けのアピールはしていない。トップガンの課題は「全国どこでもサクサク」。あらゆるモノがネットにつながるIoT時代に、スマホがモノを操る司令塔になると見て粛々と土台を築く。

 1981年にパソコンソフト卸から始まったソフトバンク。ネットや携帯と中心的な事業を変え続けてきた。今度は英アーム・ホールディングスの買収をテコに次の本業と位置づけるIoTで攻勢をかけるシナリオを描く。孫が「パラダイムシフトへの非連続の挑戦」と表現する本業転換のたびに飛び出すフレーズが、今回も出た。「みやうっちゃん、後はよろしくね」

 「俺は『都合の良い男』。孫さんが家出した後を切り盛りするのが役目だから」と副社長でナンバー2の宮内謙(66)は話す。32年前に日本能率協会から転じ「孫さんにほれた」。2人の絶妙なコンビがソフトバンクという車の両輪だ。宮内は年間に5000億円もの自由になるカネを生む携帯事業を守る。

 孫は今、自らの時間の90%を米国での事業とアームに使うと公言し、本業の国内携帯事業の全てを宮内に託す。アーム買収前後には月に6度も海外に出張し、携帯事業はほぼノータッチだった孫だが「フーテンの寅さんが新しいマドンナを見つけちゃったのだから仕方がない」と悪びれる様子もない。

 孫は2年前、後継者としてニケシュ・アローラ(48)を米グーグルから迎えた。2人はたもとを分かったが、宮内は以前から予言していた。「孫さんは仕事の鬼。引退なんかしないよ」。腹心を従えた孫の挑戦は続く。(敬称略)

=孫正義社長のインタビューを電子版に▼Web刊→紙面連動
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